チンダル現象の実例

 チンダル現象について、実際のフルード交換作業時に得られた廃液を実例に説明します。

蛍光灯の真下で、例え間近にどんなに目を凝らしたとしても目視確認してもあまりその違いは解りません。

実際の作業時には、通常容器は白濁色の半透明のポリプロピレンを使用している所が殆どです。その場合、この画像以上に見えてくる事はまず無いと考えられます。
この状態でも曇りのない透明容器を使用して光にかざしながらエア抜きを行えば、ある程度は見える物ですが・・・
※左から出てきた廃液の順で並べてあります。
※なお、この廃液は1年以上保管していた物です。変色が著しくかなり濃い色に変わっています。
レーシングアートで採用してフルードでは、例え、3年以上放置していてもこのような変色は通常起こりません。しかし、フルード内部に金属の粒が混入している状態では、このような変色も起こります。
混入している金属粒が酸化し、その影響でフルード自体の酸化も加速度的に進むと考えられます。

通常のショップで、もう良いだろうと判断する位の廃液です。
右から、白色LEDを一個当てています。(=上の画の左のボトルです。)

明らかに光の帯が見えます。この画では見にくいのですが、この状態で粒子の大きさの差が確認出来ます。
光の帯が見える事は、すなわち、この廃液の中に細かい粒が存在する証明です。
※この画でも帯中央少し左、少し上にひときわ輝く粒子が確認出来るかもしれませんね。

更にエア抜きを進めます。(=中央のボトル)

この状態は、どんなに慎重なショップでもあり得ない程、エア抜き回数を進めた状態です。
これでも、まだはっきりと光の筋が確認出来ます。

レーシングアートのエア抜き終了間際です。(=右のボトル)

殆ど、光の筋も見えなくなっています。しかし、この状態でもLEDを近づけ、目を凝らして見るとやはり数える程ではありますが、粒子が確認出来ます。
レーシングアートでは、この状態から更に最低5回のエア抜きを行ないます。

 チンダル現象と言われて、一般ユーザーは意味が解らなくても別に構いません。しかし、作業を行なう方の立場では、色々な工夫をして作業すれば、エア抜きの完璧な作業が行えるようになります。エア抜きの何たるかを知らないのに、レーシングアートの使用フルードが多過ぎるなどと言っている暇はありません。
 この件に関しては、猿真似でも構いません。チンダル現象を知らなくても、こういう方法をとれば、完璧なエア抜きが行なえると気が付いてくれれば良いだけの事です。

 しかし、実際ここまで完璧なエア抜きを行なうぞ!と考えている良心的なショップがあるかどうかは疑問です。それが望めない人はこの方法を参考にしてください。

 「見えない!」と諦めていないかどうかが重要です。

※エア抜き作業は、吸引しながら行なう方法もありますが、それでは内壁に張り付いた金属粒子は取り除けません。サイドブレーキを緩め、ペダルを力一杯3回踏み直し、フルードを素早く抜きます。
場合によっては、ペダルの踏み回数を15〜20回に増やす事も必要になります。
※フルードのメーカー及び銘柄は非常に重要です。見分けるポイントは、広口の皿に50ccほどあけて、空気中にさらします。この状態で、観察します。最低、3ヶ月間全く変色が無い事が最低条件です。もし、それ以下で変色するフルードを採用してオーナーは、その期間以下出来れば半分の期間で全フルード交換をする必要があります。
※チンダル現象はなるべく周囲が暗い状態で行なわないとはっきり確認出来ない事もあります。出来れば、夜の作業を薦めます。